あんがいおまる一座を率いるまるさんとの出会いは、仕事と住まいをなくした人の支援センター「大阪希望館」設立記念集会。舞台「大阪希望館」のダイジェストをボランティアで演じてくださいました。その「大阪希望館」が来年4月に上演されます。公演に向けて「市民参加型」劇団の稽古もスタート。稽古場である港区弁天町にある「石炭倉庫」にあんがいおまるさんをお訪ねし、お話しを伺いました。
-「大阪希望館」はあんがいおまる一座のいわば「おはこ」となっていますね。
12年前の初演から80回以上演じてきました。私の参加していた異業種交流会で「お芝居をしたいね」という話になったのがきっかけで、松竹の映画監督だった故・田中徳三さんに演出をしていただきました。10年目に原作の難波利三先生に演出をしていただき、一応の区切りにしたのですが、夏になるとやりたくなる作品で、2回前からミュージカル形式を取り入れて来年の公演で3回目です。
-まるさんが「大阪希望館」の舞台に込める思いは?
やはり平和。戦争はダメ、という思いを伝えたい。一人の浮浪者の役を演じた40代の女性がいて、彼女のせりふは「戦争はいやや!」というたった一言だけだったのですが、彼女はそのせりふを家で何回も何回も練習しているうちに、本気で「戦争はいやや」と思うようになったというのです。そのときの舞台では彼女の演技が光っていました。平和を訴える手段は多様でそれぞれのやり方で取り組めばいいと思いますが、私は舞台を作ることで訴えていきたいと思っています。
-「大阪希望館」は出演者を募集して、素人の方も出演されます。
もともと誰でも参加できる「ごくらくとんぼ一座」という市民劇団のお芝居として出発しました。大阪弁のお芝居だし、どなたでも参加していただいています。重い身体障害のある女性にも出演していただきました。彼女の話す言葉を私は聞き取れなかった。ところが「どんな役でもやるな?」と聞いたら彼女「いやや」と言ったんです。そこで彼女のせりふは「いやや」にしました。私にもはっきり聞き取れたから。素敵でしたよ。彼女は来年の公演にも久しぶりに出てくれる予定です。知的障害のある青年はご家族に大切にされて、大人なのに幼児言葉でした。でも舞台ではそれは認められません。「ちゃんと発音できないならそのせりふは削ります」と言うと、練習してちゃんと言えるようになりました。舞台では一般社会と違って上下の関係はありません。社長も障害者も同じです。ただし、本気じゃないとダメ。本気でやるから面白いし、何かを得ることができると思います。
-4月の公演に向けての稽古もスタートされたようですね。
歌の練習からスタートしたばかりです。でも、まだまだ出演者も募集中です。今回は旭堂南陵師匠も悪徳医師という悪役で出演してくださいます。お芝居を観に来ていただきたいのはもちろんですが、出来れば「役者」として参加していただきたい。「大阪希望館」は舞台を作っていく過程が大切な作品です。「戦争」を学び、仲間と出会う。私はあまり好きな言葉ではないが、「自分探し」にもつながります。一度は挑戦してみる価値があると思います。
-ありがとうございました。4月の舞台を楽しみにしています。これからも私たちの「大阪希望館」への応援もよろしくお願いします。
「大阪希望館」公演情報
2010年4月10日(土)午後6:00開演
11日(日)午後1:00開演
前売3,000円・当日3,500円
2010年4月3日(土)午後2:00開演
4日(日)午前11:00開演
午後3:30開演
前売2,300円・当日2,800円
●チケット専用フリーダイアル 0120-334-139●