2015年度は、「仕事と住まいを失くした若者たち」への支援を始めて9年度目になります。
2007年度にNPO釜ヶ崎支援機構と大阪ホームレス就業支援センターで実施した、大阪市と厚生労働省の2つの「ネットカフェ宿泊者」調査は、翌2008年度にOSAKAチャレンジネット(住居喪失不安定就労者支援センター)の開設につながり、そしてリーマンショックにより、派遣労働者など多くの人が仕事も住まいも失って路上に投げ出された事態に対処するため、2009年度に大阪希望館(住まいを失くした人の再出発支援センター)を設立してきました。
その間、ホームレス支援策の拡充と「住居喪失不安定就労者」支援策の開始、定住型の生活困窮者も支援対象とした「絆再生事業」への拡大、そして2015年度からの生活困窮者自立支援制度の開始とホームレス支援策の縮減と、時代も施策・制度も大きく動いてきました。
生活困窮者支援制度が、「地域」の困窮者へと目を向け、「ホームレスを生まない地域社会」を全国でつくっていこうと指向する一方で、実際に地域からはじき出されてホームレスにならざるをえない人たちへの視座が薄くなっていこうとしていることには、懸念も感じています。特にチャレンジネット(住居喪失不安定就労者支援センター)やホームレス就業支援協議会等が設置されてきた大都市部では、「排除しない地域社会」とともに、「排除されて流れ着いた人たちを受入れて包み込む地域社会」の両方が求められているはずです。
大阪希望館では、私たちの目的である「誰もこぼれ落とさない社会をつくる」、そのために「大阪のまちを大きなセーフティネットにしていく」ために、その両方の取り組みを進めていく2015年度にしたいと思います。
そのために、
1、大阪希望館の支援居室をベースにした、「仕事と住まいを失くした若者たち」の再出発を支援する取り組みを続けるため、「支援ハウス・ホープ」と名付けなおして、グループホーム型の自立支援資源を継続します。
2、OSAKAチャレンジネットがおこなってきた「ネットカフェ宿泊者」や「住まいを失くした人、失くしそうな人」の広域相談窓口としての機能を引き継いで、「まちかど相談室」で電話・メール・来所での相談をおこないます。
3、地域に埋もれている、あるいはホームレス状態から地域生活に移ることはできたが孤立している、「就職困難の要因を抱える稼働年齢層の人たち」を包摂し、支援していくために、旧天神橋温泉に「障がい者就労移行支援事業所ホープ・エッグ」を開設します。
4、「ホープ・エッグ」に隣接して、旧天神橋温泉内に、引きこもり状態の若者・中年層から、子供子育て層、行く場所に困っている高齢者までが広く集えるフリースペースとして「まちかどサロン」を開設し、そこを「仕事と住まいを失くした若者たち」や「障がいや就職困難要因を抱える人たち」と幅広い住民層が交流し合って、ハイブリットの助けあい地域をつくるプラットフォームにしていきたいと思います。
大阪希望館は、新しく設置される生活困窮者等への自立相談支援窓口と連携しながら、小さいながらも、地域と広域の両方から困窮者等を受け入れて包み込む社会資源のモデルとして、歩みを進めていこうと思います。