NHK「目撃!日本列島」と私たちの支援姿勢の相違について
2010年6月28日
大阪希望館・相談センター スタッフ一同
6月26日(土)にNHKが関西圏で放映した「目撃!日本列島」で放映された大阪希望館の支援趣旨の表現は、私たちの基本的な支援姿勢と大きく違うものでした。
タイトルに「お前らを見捨てへん」と出ていること自体、その趣旨が違っていました。私たちは、支援の対象者である、住むところも仕事も失った人たちに対して、彼らがいかにスタッフよりも年が若いとしても「おまえら」というようなえらそうな表現や態度をとったことはなく、あるいは「支援する側」と「される側」の間に存在する壁が、あたかも簡単に乗り越えられるかのような錯覚をして、支援をおこなってきたのでもありません。
大阪希望館は「誰も社会からこぼれ落とさない」ことを目的に活動する市民のセーフティネットワーク運動です。その中のひとつである「相談センター」は、「誰もホームレスに陥らせない」ことを目的に、その支援対象の中心に「ホームレス状態の若者たち」を置いています。決して「若者自立支援」の中の「若年ホームレス支援」ではありません。ましてや「見捨てない」などと、彼らに対して高みに立った意識で活動をおこなっているのでもありません。
仕事も住まいも失って、家族に頼るわけにもいかずホームレス状態に追いやられた彼らの絶望や不安に向き合い、彼らがみずから生きづらさを乗り越えて希望を見つけ、社会を生き抜く力を培っていけるよう、ときには下から、ときには横から、ときには親代わりになって、一緒に考え、生きる道を一緒に探していこうというのが、私たちの基本的な姿勢です。
NHKの番組では、取材対象入居者は彼らの表面だけが取り上げられ、背景や心の葛藤などが描かれない一方で、特定のスタッフがていねいに「指導・教育」している場面ばかりが目立っています。その結果、希望館が、あたかも「人生経験豊かな(立派な)大人」が「未熟(でダメ)な若者」を指導して社会の規律を教え、社会で通用するまでに「たたきあげる」場所であるかのように映ってしまっています。これでは、私たちの支援趣旨とは全く違うものになっていると言うしかありません。
取材に応じてくれた入居者、巣立っていった卒業者、希望館を応援してくださっている方々には、本当に申し訳ない限りです。